たった1.6秒の違いで、成約率が約1.5倍に!ランディングページ&フォームのA/Bテストと成功事例をご紹介

こんにちは。アンダスの岡村です。
今回は、WebページのA/Bテストについて概要、ポイント、成功事例について書かせて頂きます。
Webページにおける「A/Bテスト」とは、異なる2つ以上のパターンのデザインやコピー、オファー、レイアウトなどを比較し、より効果の高いページを見つけるプロセスのことを言います。「スプリットテスト」や「スプリットランテスト」とも呼ばれます。通販であれば、Web上でユーザーに起こしてほしいアクションは「申し込み」「購入」になりますので、購入プロセス(ランディングページ、フォーム、カート)の各ページの離脱率を下げ、最終的な購入率を最大化させるためのページを見つけるためにA/Bテストを行うのが一般的です。
A/Bテストでの改善は、広告の費用対効果に直結する。
A/Bテストを行った結果、購入率(CVR)が向上すると、広告の費用対効果が向上します。つまり、同じ広告費でできるだけ多くの顧客を獲得できる=売上増加が見込めるということです。
下記の図を例に、購入プロセスの各ページ離脱率の違いで、どれだけ購入率(CVR)と新規獲得件数にインパクトがあるか見てみましょう。

(図)離脱率の違いによるCVRと新規獲得件数の変化(※広告費は1,000,000円)
1,000,000円の広告費で20,000人を誘導したランディングページ(以下、LP)、AとBがあります。それぞれのLPでの離脱率(直帰率)は、Aが90%、Bが85%とします。よって、フォームへ到達したのは、Aが2,000人、Bが3,000人。そして、フォームでの離脱率(かご落ち率)は、Aが60%、Bは50%とします。よって、購入を完了したのが、Aが800人に対してBは1,500人。
結果、CVR、新規獲得数共に、1.8倍の開きが出ました。今回のAとBのケースでは、同じ広告費を投下しても、売上が1.8倍も異なることになります。
広告の費用対効果を最適化するために、個別の広告運用を見直すことも大切ですが、同時に、各ページ離脱率を改善することが、効果的なCVRの改善に繋がります。
そして、各ページ離脱率を改善する効果的な手法の一つがA/Bテストです。
A/Bテストを行う上でのポイント
A/Bテストで大切なポイントを2点ご紹介します。
①比較する要素を明確にする。
仮にランディングページでA/Bテストを行う場合、ランディングページのどの要素を比較するのかを明確にする必要があります。そうでなければ、得られたテスト結果の要因が曖昧になり次へ活かすことができません。
②できるだけ同条件下でA/Bテストを行う。
A/Bテストをする際は、できるだけ同条件下でテストをする必要があります。
下記のような条件に気をつける必要があります。
・流入元媒体
流入元媒体に応じて、ユーザー属性(年齢や性別など)が異なるため、それぞれのランディングページの流入元を異なる媒体に設定してしまうと、正しい評価が難しくなります。実際、媒体によって効果的なランディングページが異なることが多々あります。
・測定時期
複数のランディングページの検証時期が異なると、いわゆる季節要因などで同じランディングページでも結果が異なることがありますので、できるだけ検証時期を揃えるようにします。
A/Bテスト成功事例
ここからは、実際のA/Bテストの成功事例を見て行きましょう。
事例① ランディングページ表示速度の違いによるCVRの違い
ページの読み込み速度を高速化することで、ユーザビリティを向上させCVRアップを狙いました。下記が結果です。
表示速度 | 表示回数 | CNV数 | CVR | |
高速化前 | 5.88秒 | 3158 | 68 | 2.153% |
高速化後 | 4.30秒 | 3144 | 99 | 3.149% |
元々表示速度が5.88秒だったページの表示速度を4.30秒まで高速化しました。
結果、CVRが約1%も高くなりました。
ページの高速化は、「遅延ロード」という手法を用いました。
「遅延ロード」とは、本来、Webページを表示する際、ページのロード時に全ての画像が、Webサーバーからダウンロードされ表示されます。そのため、画像が多いページの場合、ロード時間が長くなってしまい、それがユーザーの離脱を誘発してしまいます。
ただし、遅延ロードを利用することで、現在見えている画面の画像だけが、ロードされるようになるので、ページ表示時の大幅な時間短縮につながります。
ここでは具体的な設定の方法をお伝えしませんが、『遅延ロード 設定』等で検索すると、方法を調べることができます。
事例② オファーの違いによるCVRの違い
購入フォーム確認画面でのアップセルオファーのA/Bテストを行いました。商品サンプルを買おうとしたユーザーに、購入フォームの確認画面で定期コースへ引き上げるためのオファーを出します。
このオファーのA/Bテストを実施しました。Aパターンは、4つの定期コースを用意し、ランキング形式で訴求しました。顧客に選択肢を与え、その中から選んで頂きます。
【Aパターン】定期コース商品は4つ
【Bパターン】定期コース商品は一つ
Bパターンは、コースを一つに絞り、付属のプレゼントを選ばせる形式です。
結果は下記の通りとなりました。
種別 | 表示回数 | CNV数 | CNV率 | アップセル数 | アップセル率 |
4商品番 | 5,938 | 158 | 2.93% | 26 | 16.50% |
1商品番 | 5,550 | 204 | 3.68% | 34 | 16.70% |
確認画面でのアップセルで、定期コース4商品パターンと1商品パターンでA/Bテストをした結果、アップセル率にほとんど変動は無かったのですが、全体購入数に差異が出ました。
要因はCVRにあり、1商品パターンがCVR3.68%、 4商品パターンがCVR2.93%と、 1商品パターンの方が約1.25倍のレスポンスに。 4商品を見せて選ばせることで、ユーザーに考えさせる時間を作らせてしまい、離脱が増加したと考えられます。
事例③ フォーム内容変更によるCVRの違い
フォームでの離脱率を減らし、CVRを高めるために、フォームの項目に関してテストしてみました。今回変更したのは、『必須』部分、その入力項目が必須であることを表す項目です。この『必須』部分がもともとテキストだったものを画像に変更しました。
【変更前】『必須』部分がテキスト
【変更後】『必須部分』を画像に変更
結果は、下記をご覧ください。
結果として直帰率3%改善、CV率約5%改善に成功しました。
貴社でA/Bテストを実行するために
いまでこそ、A/Bテストという言葉は通販企業などでは一般化しましたが、実際に継続的にテストを実施し、そのメリットを享受している通販企業はどれくらいあるのでしょうか。
一部企業では、実施A/Bテストを行うことは専門的な知識やスキルが必要でハードルが高いように思われていますが、上記の通り、全くそんなことはないと感じます。
まずは、Web上に落ちている成功事例の中から自社で実行できそうなものを選び、とにかく実行して頂きたいと思います。自力で難しい場合は、広告代理店などのパートナー企業に相談しながら進めることをおすすめ致します。
広告の費用対効果の改善に限界を感じているのであれば、是非「A/Bテスト」を実行してみてください。