単品通販におけるデータベースの分析 – 高度なデータ分析の活用について

単品通販におけるデータベースの分析 - 高度なデータ分析の活用について

こんにちは。ティーダイレクトの権丈です。

今回はデータからの”発見”について書かせていただきます。また、今回もおまけとして実務としてデータ集計を行うにあたってのtipsを入れることにいたします。最後までお付き合い下さい。

 

発見

ここでの「発見」とは、これまで気づいていなかったことや、あいまいに認識していたことを明確に認識するために、どのようにデータを活用するかというものです。

通信販売というと、顧客・メディア・商品・行動等の情報がたくさんあるため、明確な仮説がなくてもデータを分析することで何かしらの発見ができるように思えます。ビッグデータという言葉がIT業界の中で流行る中、通信販売でもビッグデータ的なアプローチができないかという考え方はずっと以前から行われてきました。

 

高度なデータ解析の手法について

広告費の無駄を減らす

ここでは単品通販に範囲を絞らせていただきますが、業務の中に高度なデータ解析の手法を取り入れ始めたのは、新規顧客獲得の広告費の無駄を減らすためでした。

特に折込チラシの領域では、配布・購入実績という事業者が保有しているデータと、国勢調査をはじめとする各種調査結果を郵便番号をキーにして解析する事で、エリア別の効率の良し悪しに根拠を持たせる取り組みが行われていました。
※それ以前からカタログ通販では、バスケット分析や顧客分析などで活用されていました。

業務改善の実施

その後、休眠顧客向けDMの効率向上や、コールセンターに集まるお客様の声を分析した業務改善の実施という分野で活用が進んできましたが、多くの事業者が積極的に取り入れるというレベルには至りませんでした。

理由としては、折込チラシをはじめとするメディアの無駄を減らすためにデータを活用していた時代はオフライン全盛で、折込チラシだけに毎月数千万円使うというような時代でした。

自社に繋ぐためのツール

また、データ分析の提供も折込チラシの代理店がクライアントを自社に繋ぐためのツールとして行われていた側面もあり、安価(場合によっては無償)で提供されていただめ、データ分析を導入することで得られるコスト削減効果と費用のバランスが良かったのです。

休眠向けのDM効率を高める

一方、最近取り組まれている休眠向けのDMの効率を高めることなどの取り組みは、施策に使用する費用の規模がよほど大きくない限り、コスト削減効果と費用のバランスがあいにくいものです。

実際にトライしてみると確かに効果はあるけれども、コスト削減効果と費用がほぼ同じになり手間だけが増えるので、だったら従来のままの方が良いと結論付けるケースが見受けられました。

自社に分析システムを導入

また、社外のデータ分析を提供する会社に都度発注するのではなく、自社に分析のシステムを導入することで一時的に費用はかかるものの、運用していく段階ではさほど費用がかからない形でデータ分析を活用することも可能ですが、分析のシステムを効果的に活用するためには社内の人材育成も必要となるため、一部の大手を除きなかなか普及しませんでした。

実際に私自身も通販会社に所属している間にいくつかの高度なデータ分析を試したことがあり、高度な分析システムの導入もしたことがあります。確かに一定の効果を得る事はできますが「ビッグデータが世の中を変える」というほどのインパクトを生むことはできませんでした。その理由として一番感じたのは「データの種類が少ない」ということです。

特に単品系の通販会社のデータベースはあまり多くない種類の商品の購入データと顧客データ(せいぜい性年代と住所)くらいしかありません。商品の種類・回数・頻度の組み合わせをひたすら一杯作って分析の軸にしようとするのですが「これが効いている!」というような発見はなかなかできませんでした。

高度な分析をするまでもなく「最終購入からの経過期間」と「累積購入金額」の2つが購入確率の8割以上を左右する項目になってしまうからです。

顧客数を集計することで分布を視る

さて、そうはいっても高度なデータ分析から何かしら得られるのではないか?という想いはなかなかなくなりません。そこでご相談があった会社さんには次のような手法をお勧めしています。高度なデータ分析(スコアリングと呼ばれる手法)を疑似的にエクセルで視覚化するというものです。
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表の見方ですが、まず上段と下段に分かれていまして、上段は実数を下段は分布割合を集計しています。縦軸は年間購入金額帯で顧客数を集計し、横軸は年間購入金額帯の違いを説明できそうな要因に対して顧客数を集計しています。

次に下段の左から4番目のオレンジの棒グラフの形を見ます。この形が全体の平均を表示するものとなります。次に右側の紫の棒グラフを見ていき、オレンジの棒グラフとは異なる形、今回の集計方法では下の方ほど紫色の面積が多くなっている場合は年間購入金額が高い顧客に共通している要因となり、上の方ほど紫の面積が多くなっている場合は年間購入金額が低い顧客の共通している要因となります。

このように見ていくことで高度な分析を行わなくても一定の感覚を得る事ができるようになります。

 

結局仮説が重要

ところが一つの疑問が出てきます。
「年間購入金額帯の違いを説明できそうな要因をどうやって出していくのか?」です。残念ながら要因候補を出していく作業は、基本人力になります。また集計の工数を考えるとやみくもに組み合わせで数を出すのではなく、ある程度仮説をもって検討に臨む必要もあります。

実は高度なデータ分析ツールを導入した場合でも、社外の分析を提供している会社に発注した場合でも、裏では要因候補を作る作業が発生しており結構な工数がかかっているのです。また仮説が複数ある場合などはより効果的な結果が得られやすく、何かしら見つからないかという程度の場合はあまり効果的な結果を得難いものです。

結局データを高度に活用するとなると、お金を沢山使うか必死に考えるかのどちらかになる、ということです。

しかし、近年のITシステムは素晴らしい程の発展を日進月歩でしています。近い将来に安価であまり多くを考えなくても誰でも使えて効果を得やすいツールが開発されるかもしれません。期待したいものです。

 

おまけ

今回のおまけは「定期」VS「まとめ買い」についてです。最近は大半の事業者では定期購入をメインのオファーにする傾向がありますが、以前からまとめ買いが定番のオファーでもありました。では実際にどちらの売り方が効率的なのかを考えてみました。

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非常に簡単なシミュレーションですが、トライアルで露出してアップセルで定期かまとめ買いに持っていくというパターンです。

数値が分かりやすいようにトライアルでの注文数は1,000人とし、そのうち何%を定期またはまとめ買いに誘導できたのかをそれぞれ率で設定しています。割引率や継続率なども設定する事である程度の目安を計る事ができます。

結果としては、上記の設定では、初回定期半額オファーで定期に30%誘導できた場合とまとめ買い3個半額オファーで20%まとめ買いに誘導できた場合とで1年後の売上でほぼ同等ということになります。実際には原価率にもよりますが上記の場合利益ではまとめ買いの方が出やすいかもしれません。

売上の構造としては、まとめ買いが最初に売上を大きく上げて後から定期が追い付いてくるようになりますので、2年後3年後と期間を延ばす程に定期の方が有利になります。

しかし、複数のクロスセル商品を持っている事業者の場合は定期よりもまとめ買いの方がクロスセルしやすいケースが多かったり、と一概には言えません。少なくとも短期的な回収を重視する事業者の方にとっては定期よりもまとめ買いを選択した方が良い場合もあるという点はご理解いただけましたら幸いです。

今回は高度なデータ分析の活用について書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。社外に発注した場合でも自社内にデータに対して詳しい方や、マーケティングの前線の方の協力がなければなかなか思うような結果は出にくいものです。私は社外の高度なデータ分析を提供している会社に発注する前に一度自社で色々やってみるところから始めるのをお勧めしています。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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