単品通販におけるデータベースの分析 – 仮説検証におけるデータ活用方法

単品通販におけるデータベースの分析 - 仮説検証におけるデータ活用方法

こんにちは。ティーダイレクトの権丈です。
今回は事業の仮説検証におけるデータ活用方法について書かせていただきます。また、今回もおまけとして実務でデータ集計を行うにあたってのtipsを入れることにいたします。最後までお付き合い下さい。

 

7:仮説検証

仮説検証は、仮説と検証なのですが、どちらも一般語としてではなく、単品通販、特にデータを活用して検証を行う事が多い施策等のマーケティング活動を行うにあたっての解釈、という視点でご説明させていただきます(一般的な定義や解釈とは異なりますのでご注意ください)。

・「仮説」=「アクションによって対象となる結果を現状よりもよくするためのシナリオ」

簡単にいうと、通信販売に関わる方ならば日々接しているかと思いますが、何かしらの施策を実施する際の設計図です。事業者によっては「企画」という言葉で表現することもあるでしょう。

さて、事業を現状より成長させる事は、放置しているままだとなかなか実現しません。成長のためには何かしらのアクションを起こす必要があります。

また仮説の対象となる結果は、注文・クリック・業績・LTV等、アクションの場面ごとに変わります。アクションを実行に移す準備の過程で、考え方や選択が揺らがないように、仮説の対象となる結果を事前に分かりやすく決めておくケースが大半です。

また、通信販売で商品やサービスを販売する場合、顧客の行動が変わらないと結果が変わらないので、仮説を立案する際には次のような考え方をします。

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この図の中で事業者と顧客との接点において事業者側から行うアクションは③「こういう風なアクションを行う事で」のみです。

顧客の行動を支える認識(顧客の立場で何を事実と捉えているか)・心理(事実として捉えているものをどう思っているか)・判断(認識と心理を元に購入するかしないかをどうするか)が変わるためにはどのような③「こういう風なアクションを行う事で」をすればよいのか、という話になります。

ただ、現状よりも良い結果を導くには、未購入の顧客がどういう認識・心理・判断をしているか、という②「こんな認識・心理・判断になっているので」の想定が非常に重要なのですが、通信販売の特性上、事業者に蓄積するデータは購入者の方が未購入者よりも多いという状況もあるため、事業者側の未購入顧客に対する認識が正しくできない事もありますので、注意が必要です。

・「検証」=「仮説が正しかったどうか、正しくなかった場合に何が要因だったかを確認する行為」

まず、検証は2つのプロセスで行う必要があります。一つが事実確認でもう一つが要因分析です。概略をまとめると次のようになります。

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ここで③に「仮説は実現したか?」という表現を使っています。「結果は良くなったか?」ではありません。まずは結果が良くなる事が一番なのは言うまでもありませんが、次に重要なのはその仮説が継続的に有効かどうかになります。

今回限りの仮説ならば気にする必要は無いかも知れませんが、広告表現・引き上げ施策等、一度成功した場合はなるべく継続的に使いたいものです。ですから、結果だけでなく仮説自体がどうだったのかを確認する事が重要になります。

そこで、ポイントになるのが、事実と推測を分けて考える事です。一旦事実となるデータを全て整理した後に推測の作業を行います。そうすることで見落としや後戻りが無くなりやすくなるのです。

次に、データを検証に活用するに際して注意したい3つのポイントについてです。

1:認識・心理・判断のデータが多い方が良い
2:分布で見ると何が起こったか分かりやすい
3:事前に準備しないと取集できないデータがある

1:認識・心理・判断のデータが多い方が良い

仮説の一番のポイントは、顧客の認識・心理・判断をこれまでと変える事です。その部分がデータであるのと無いのとでは検証の精度に大きく差が出ます。

WEBであれば広告のクリック率・注文フォームへのエントリー率などといった計測数値や、滞在時間やクリックポイントのヒートマップなど、最新技術を用いてデータを収集することもできます。

ただこれらはあくまで行動の情報でしかありません。認識・心理・判断をデータで収集するには、顧客に対してヒヤリングやアンケートを行う必要があります。ヒヤリングやアンケートは人手やお金がかかるので「それだったら別の施策をやった方が良い」という考え方もあります。

これは事業リスクにおける意思決定の話なので、事業のサイズやリソース(お金・人員等)などの兼ね合いで決めるべきですが、認識・心理・判断のデータを収集しないということは、仮説検証において一つのリスクをテイクしていることを自覚した方が良いでしょう。

2:分布で見ると何が起こったか分かりやすい

一般的に仮説検証データ集計を行う際には、仮説の軸に対して結果数値を集計することが多いものです。初回定期推進施策実施前の下の表で言うと、左端の2行だけです。

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ただし、分布の数値(左から3行目以降)も集計すると、別のものが見えてきます。

平均だけを見てみると、合計のLTVは改善したけど、初回定期・初回非定期ともにLTVが悪化しています。そこで分布までみてみると、初回定期・初回非定期の顧客共に低LTV顧客の比率が増えていることに気づきますし、施策実施前も初回非定期の中に高LTVの顧客がそれなりの人数いたことが分かります。

これらは初回定期施策でオファーを強く出して実施した場合に陥りやすい状況で、このまま継続するとLTVは改善したけれども業績が思ったほど伸びないことになります。そこでオファーも大事だけれども、商品の良さをきちんと説明して理解してもらうことをしっかり取り組みことで更なる改善につなげる、という次のアクションを導きます。

上記の説明は仮説の軸が分かりやすい例ですが、「悩み」「満足度」「クロスセル」などの要素が混ざり複雑化していく場合は、平均だけでデータを集計するのではなく分布をきちんと集計することをお勧めいたします。

3:事前に準備しないと取集できないデータがある

そもそもデータは事後的に収集できるものと、事前に準備をしないと収集ができないものがあります。

例えば、購入者向けのアンケートは事後的に準備してデータを収集することができますが、購入時のアンケートは事前に準備をしておかないとデータを収集することができません。

特にアンケートの項目は事前にしっかり仮説と向き合っておかないと、後から「これも聞いておけばよかった!」ということになります(その手の話をよく聞きます)。

 

おまけ

今回のおまけは、データの分析に必要なデータ集計についてです。

私は仕事柄、データ集計を依頼されることがたまにあります。レコードの数は数万から数十万まで差がありますが、作業時間はあまり変わりませんし、ほとんどの場合は次の作業で完了します。

・複数のデータを統合し(必要がある場合のみ)、項目を整理する
・データを1レコード化する(アクセスの集計クエリを使います)
・集計軸を作る(条件文はエクセルのif文(最大3階層)・and文・or文で8割以上対応できます)
・集計する(ピポッドテーブルがほとんどです)

この中で一番時間がかかるのは、最初の「複数のデータを統合し、項目を整理する」ですが、他は少し練習すれば結構簡単に身に着ける事ができます。エクセルは拒絶、という方にはお勧めできませんが、拒絶レベルでなければ意外とすんなり慣れていきます。

ただ、自力でウンウンうなりながら試行錯誤するとやはり時間がかかりますので、同業者交流会などで先生や仲間を見つけて情報交換をしながら取り組むのが良いでしょう。

今回は事業の仮説検証におけるデータの活用方法について書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

速度を上げて施策の手数を増やすこと、仮説検証の精度を高めて成功確率を上げること。この2つはよくトレードオフの関係として論じられることがありますが、どちらも重要なので「今この会社においてどちらを選択すべきか」という議論以外はしない方が良いでしょう。

さて、次回はデータ分析の目的として求められることが多い「発見」について書いていきます。「通販には大量にデータがあるのだから何かしら分かるだろう、時代はビッグデータだよ!」という方は是非お付き合いください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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