リピート率の高い通販・EC企業は制作している「読本」コンセプトブックとは?

From リピート通販総合研究所 石塚真識
お客のモチベーションが最も高まる瞬間…。
それは届いた商品の開封時です。
「待ちに待ったあの商品が届いた!」
この時、商品への関心度は最高潮に高まっています。
もちろん、開封率はほぼ100%。
だからこそ、この開封の瞬間をリピートアップの手段として利用しない手はありません。事実、リピート率の高い通販・EC企業は、商品と一緒に同梱物を入れることで、お客の啓蒙や教育を行い、リピート率を科学的に高めています。
今回は、そんな同梱物の中でも特に注目度の高いコンセプトブック(読本)の効果的な使い方をご紹介します。
初回同梱物に120%のパワーを注げ!
まず、同梱物を作る前に必ず知っていただきたいこと。
それは、同梱物は初回同梱物に全力を注ぐということです。
その理由はシンプルです。
意外かもしれませんが、実は2回目以降の同梱物はほとんど読まれないからです。
「えっ!ほとんど読まれないって、本当?」
はい。本当です。
実際に、私とその仲間が経営する通販会社で次のようなテストをしたことがあります。
A群のお客:3回目同梱物にお客様の声チラシ、成分読本、プレゼント予告のチラシを入れる
B群のお客:3回目同梱物に何も入れない
こうした2つの群を作り、4回目のリピート率に違いがあるかどうかを調べてみました。
その結果はどうだったか?
なんと、リピート率に全く変化がなかったのです!
そんなはずはない。そう思ってもう一度別の角度からテストをしてみましたが、結果は変わりませんでした。しかし、初回同梱物の場合、アップセルやクロスセルをするチラシの内容によっては20%以上の反応率が出ることもあります…。
つまり、紹介の同梱物では一番効果が高く、2回目、3回目以降はどんどん読まれなくなっていくのです。
中小規模の通販企業には、予算も、人材も、スキルも限られています。だからこそ、一番効果の出るところにリソースを投下する必要があります。そのために、まずは初回の同梱物に120%集中してほしいのです。
同梱物≒ラブレター
もしあなたがラブレターを書くとしたら、何を考えて書きますか?
おそらく…。相手の趣味や、性格。好みのタイプ。さらには、どんな便箋を選ぶと好感度が高いのか。どんな文章にすれば告白をOKしてもらえるのか…。こんな内容を全力で考えますよね?
きっと、ただ単に思いを伝えて自己満足することではなく、そのラブレターを読むことで、あなたの愛を受け止めてくれるためにはどうすべきかを全力で考えると思います。
このプロセスは、同梱物も同じです。ラブレターの目的が告白を受け入れてもらうことだとしたら、同梱物の目的はお客にリピートしたいと思ってもらうことにあります。そこで…
買わない理由を先読みせよ!
そこで私がオススメするのは、同梱物を作る前にあらかじめお客のリピートしない心理を分析し、それを潰すようなコンテンツ設計を設計するという方法です。
実は、お客がリピートしない理由は、そう多くありません。
以下、代表的な顧客心理を3つご紹介します。
「会社が信頼できなそう(怪しい)」
通販は顔の見えないビジネスです。なので、「この会社は、本当に信頼できるんだろうか?」という不安が生まれます。注文していない商品をいきなり送り付けて不当請求する「送りつけ詐欺」の事例もあります。「この会社から買ってよかった!」そう思ってもらえるようなコンテンツを伝える必要があります。
「商品の使い方がよくわからない」
商品を届ければ、すべてのお客が正しくその商品を使ってくれる…。この考えは誤りです。お客は、通販企業が思う以上に、間違った方法で商品を使っています。朝飲むべきサプリメントを、夜に飲んだり。10円玉サイズを肌に塗り込むはずの化粧品を、5円玉サイズしか使っていなかったり。こうした間違った使用方法をしているからこそ、商品が余ってしまったり、本来得られるはずの効果が得られない。その結果、リピートしなくなってしまうのです。
「効果が感じられない」
化粧品やサプリメントであれば、使ったその日に効果が出るということはありませんよね。英語教材などの場合も、教材を使って1日で効果が出るということはないでしょう。ですが、お客はそのことを知りません。リピートしてもらうためには、「何ヶ月目に効果が出るのか」「効果の予兆としてどんなものがあるか」を教育することが欠かせません。
ようするに、同梱物では、ランディングページやECサイトでは解決しきれなかったこれらの不安を解消してあげればよいのです。すると、作るべき同梱物の姿が明確になってきます。
初回同梱物に必ず入れるべき7つのツールとは?
では、通販企業が入れるべき同梱物とは何か?
代表的なものをご紹介します。
※話をわかりやすくするために、ここでは化粧品やサプリメントを販売する通販ビジネスの方を想定していますが、この内容は食品や英語教材などのクライアントでも効果実証済みの内容です。
1.挨拶レター
初回購入という接点をいただいたことへのお礼を伝えるツールです。多くは代表取締役からのお礼の手紙という体裁をとります。このツールで重要なのは、いかにも「私信」のように見せることです。ですので、ベストは手書きすることなのですが、1枚1枚手書きするとコストが高すぎるので、手書きしたものを複写するのがオススメです。
2.納品書および払込票
使用する決済会社によって用紙のフォーマットが決まっているため、特筆することはあまりないツールです。あえて言えば、現在のポイント数や、会員ランクなどを記載できるとよりベターですね。
3.読本(コンセプトブック)
同梱物の中でも、重要になってくるのが読本です。あなたの会社は読本を同梱していますか?実は、読本に力を入れている通販企業というのは驚くほど少ないです。読本は非常に重要ですので、次のパートで詳しく解説します。
4.お客様の声チラシ
意外と忘れがちなのがお客様の声チラシです。どういうわけか、年商数億規模の通販企業でも、なぜかお客様の声が抜けていることが多くあります。お客様の声チラシは、商品の効果を保証すると同時に、会社の信頼性を証明する強力なツールです。お客様の声を同梱することを、絶対に忘れないようにしましょう。
5.使い方チラシ
健康食品であればなくても構いませんが、化粧品の場合は必須ツールです。「朝使うのか、夜使うのか?」「洗顔の後なのか、それとも化粧水のあと使うのか?」「10円玉サイズなのか、それとももっと多く使うのか?」「塗りこむようにするのか、それともさっと載せるだけで良いのか」など、できるだけ詳しく案内しましょう。正しい使い方をしなければ、商品の効果は十分に発揮されません。効果が発揮されなければ、お客がリピートしてくれる確率は低くなってしまいます。効果を実感してもらうためにも、使い方チラシはできるだけ作り込んで、魅力的に作ってください。
6.定期便啓蒙チラシ
定期通販の儲けのキモは、定期便です。「もはや定期コースで買わないのがもったいない」。そう思わせるようなオファーを用意できればベストです。「定価よりも●%オフ」「送料無料」「使えば使うほどお得になる」「定期コースにした方の喜びの声」など、定期便のメリットを伝えるチラシを作りましょう。重要なのは、これらのコンテンツを1枚の独立したチラシにすること。会報誌やパンフレットの中面に記載するだけではお客に読まれません。
7.アップセルもしくはクロスセルチラシ
冒頭でお伝えしたように、初回同梱物が最も反応率が高く、それ以降の同梱物では反応率はドンドン下がっていきます。なので、顧客単価をアップするためにもこのタイミングでなんらかのアップセルやクロスセルを仕掛けるようにしましょう。
コンセプトブック(読本)のテンプレートを大公開!
さて、ようやく本題のコンセプトブックの作り方についてです。なぜ、コンセプトブックを作る必要があるのか?
それは、お客に商品の良さを再認識してもらうためです。というのも、お客はランディングページやECサイトを見て納得の上で商品を購入していますが、商品が届く頃には、その内容を忘れています。
さらに、もう1つ重要な視点。それは、商品を「買う前」と「買った後」では求められる情報が異なるということです。売る前であれば、ライバルと比べてどう優れているのか。価格に見合うスペックなのか。こうした情報が求められますが、買った後であれば、安全性や信頼性にフォーカスが移ってきます。
「そんなこと言われても、どんな冊子を作れば良いのかわからない…」
そんな方もご安心ください。実は、リピート率の高い通販企業の同梱物を分析してみると、コンセプトブックには共通したフォーマットがあることがわかります。そう。実は、読本ではコンテンツからページ数に至るまで、構成がほとんど決まっているのです。
では、下記、もっともシンプルなコンセプトブックの構成をご紹介します。
コンセプトブックの代表的な構成
・表紙&裏表紙/各1ページ
・プロローグ(商品コンセプトの解説)/2ページ程度
・差別化ポイント、成分、製法などのこだわり/4ページ程度
・体験談/2ページ程度
・よくあるご質問/1ページ
・商品情報/価格表/スペック/1ページ
ライバルの同梱物なども参考にしつつ、これらの情報を、前述した買わない理由を潰しつつ、商品を購入した顧客にとって役立つコンテンツとして提供すれば良いのです。それだけでリピート率はこれまでよりも格段に高いものになるはずです。
最後に…
これらの同梱物を作りこむことであなたの会社のリピート率はどのくらい向上するのか?
商品やお客にもよりますが、私とその仲間の事例では、同梱物を改良したことで顧客単価が1.5倍以上になったケースもあります。
したがって、顧客のリピート率をアップしたいという方は、ぜひこの機会に自社の同梱物に足りないものがないかどうか、ぜひチェックしてみてください!